家族

家族は嫌いじゃない。たまに帰省すると、両親も弟も好きだな~って思う。

 

 

 

お父さんはしつこい(くどい)性格だけど穏やかで頭が良く、会話をしていると色んなことを教えてもらえて楽しい。

 


お母さんは感情の振り幅が大きく、すぐ怒るけど、料理上手だし、私が美味しい美味しいって食べるとにこにこしてくれる。だからついつい食べ過ぎてしまう。

 


弟は甘えん坊で、もう成人したというのにお姉ちゃんお姉ちゃんって尻尾追いかけてくる。可愛い。

 

 

 

 


でも

家族は嫌いじゃないけど、昔は本当に酷かった。

 

 

 

 


何がきっかけだったのかは分からない。急な変化だったのかじわじわ変わっていったのかも思い出せない。

私が小学校高学年の頃だから、今からちょうど10~11年前。

お母さんがお酒を飲んで暴れるようになった。

お父さんも毎日お酒を飲むようになって、すぐ怒鳴るようになった。

弟はキレると手がつけられなくなり、すぐ暴力をふるうようになった。

 


母親は私を縛った。

日曜日に図書館に行くことすら許してもらえなかった。

部屋で勉強していても、何か喚きながら部屋に入ってきて、勉強道具を全部窓から捨てられたりもした。

部屋で友達と電話をしていると、奇声を上げながらドアを叩きまくったり、部屋に押し入ってきてケータイを取り上げ窓から外に投げたりもした。

私は身長が150cm足らずだったのだが、母は「奇形」「背が低いくせに胸ばっかり大きくてバランスが悪い」「気持ち悪い」「鶏ガラ」「胸が大きいのはいんらんな証拠」などと私を罵った。

ことあるごとに包丁を持ち出し私に切っ先を向けていた。

 


父親は無関心になった。

家族で夕飯を食べる際、いつも私の席はなかった。

床に正座させられ、母と弟にボコボコ殴られている時も、父はこちらを見向きもせず黙々と食事をしていた。

弟が反抗的な態度をとると大声で怒鳴り、(何故か)私を殴った。

父は殴った後は必ず私の髪の毛を掴み、玄関まで引きずり、ゴミを扱うかのように私を外に放り出した。

 


弟は所謂「キレる子供」になり、しょっちゅう怒鳴り、物に当たり散らしていた。

物だけならまだいいが、私の下腹部を殴る蹴る、上から踏みつける等をした。

子宮が壊れていたらどうしよう、妊娠できないからだになってしまったらどうしようと毎日泣いた。

 

 

 

 


こんな生活が何年も続き、私はリストカットをした。

母親は私の傷を見て爆笑した。

「死ぬならさっさと死ね。そんな浅く傷つけてないでもっと深く切ってみろ」と言った。

 

 

 

 

 

 

逃げるように実家を離れ大学近くで一人暮らしするようになると、父も母も弟も優しくなった。

たまに会う分には痛いこともされず、たくさんお話をしてくれる。

昔あんなことがあったなんて、もしかして妄想かもしれない、と思う位に優しくしてくれる。

 


でも私は知っている。

たまにしか会わないから優しくしてくれること。

また前みたいに同じ家で過ごしたら、きっと私はまた殴られる。暴言も止まらない。

知っているはずなのに、わかっているはずなのに、愛されたくて、今年の春から実家に住むことを決意した。

もしかしたら殴られないかもしれない、痛い思いしなくてすむかも、心も傷つかないかも。今度こそ愛してもらえるかも。

そんな淡い期待が消えない。無駄なのに、信じたい気持ちが消えない。

 

 

 

 

 

 

 


今度こそ殺されるかもしれない。